黒字経営のための具体的な手法
黒字経営のための具体的な手法
・黒字を増やすために何をしてよいものか検討がつかない。
・相談相手がいない。
・会計事務所から財務諸表を渡されているが、数字の意味がよくわからないのでどこから手をつけてよいのかわからない。
こういった悩みを抱えている経営者の方は、とても多いとおもいます。
こちらでは、経営者の方々に助言している黒字経営のための具体的な対策を紹介しています。
ちなみに、こちらでの『黒字』とは、利益の黒字だけでなく、資金繰りもプラスになることを黒字と定義しています。
利益が黒字でも在庫管理や売掛金の回収がいいかげんだと資金繰りは赤字になります。
経営の究極の目標は、リアルなお金を会社に貯めることですから、当然の定義となります。
資金繰りが黒字の会社は、喜んで銀行がお金を貸してくれるでしょう。
銀行は、会社の資金繰りを重視するからになります。
調達資金した資金は、適切に投資すれば、さらなる利益を生み出していきます。
利益が増えれば、長期的には、資金繰りもさらに良くなるでしょう。
資金繰りを黒字にすると、資金調達と利益増加の相互作用により、企業は限りなく成長していくことができるのです。
会社は、資金繰りの面でも黒字である必要があります。
ですので、黒字維持のためには売上や原価、人件費といった損益項目の管理と同じぐらい、在庫、売掛金、買掛金といった資産負債の管理も大切になります。
損益に直接影響しませんが、資金繰り改善効果があるからになります。
経営目標の設定(予算管理)
まずは、目標を設定することになります。
人は、目標を作らないとそれに近づこうという努力を始めない動物だからなのです。
損益分岐点分析を実施して、黒字化実現のために必要な売上、許容される原価率、適正な社員数を算定し、これらを経営の目標としていきます。
目標を設定するだけでは意味がないので、その目標を実現するためのアクションプランも作りましょう。
いくら全社目標をつくっても、各個人に目標やアクションプランが設定されなければ、個人はなにも行動を起こさないのでなにも達成しないでしょう。
ですので、目標を実現するためには社員ごとに目標やアクションプランを細分化する必要があるのです。
例えば、全社の売上目標を各営業マンに割り振ります。
この目標、アクションプランの達成度に応じて社員の報酬が決まる仕組みも導入する必要があるのです。
この仕組みのことをマネジメントコントロールといいます。
社員の動機付けを強化して、売上を伸ばす効果があるのです。
柳井さん、孫さん、ホンダの藤沢さんと、創業企業を大きくした経営者は例外なく導入した仕組みなのです。
売上管理
製品、サービス毎に利益を把握できる仕組みを構築する必要もあります。
顧客毎や部門毎にも利益がわかるようにしなければならないのです。
原価計算の仕組みを作り、正確な利益が、製品毎、顧客毎、部門毎に把握できるようにしていきましょう。
サービス業でも、原価計算を導入してサービスライン毎に利益を測定する仕組みを作る必要があるのです。
利益の出ない顧客、商品、部門を発見して対応する仕組みをつくります。
利益の高い分野に経営資源を集中し、利益を生まない分野からは撤退します。
限られた経営資源で、利益を極大化するためには、製品ラインのスクラップビルドは不可避な意思決定になります。
これは、利益を出すための鉄板の戦略なのです。
利益が出ている分野が会社が強みをもっている領域になります。
これは、会社の強みに経営資源を集中してさらにその強みを強化する戦略なのです。
会社の利益の源泉について、客観的な管理会計がもたらした分析結果と経営者の直観は会社が大きくなるほどずれていきます。
会社の成長がある程度まで大きくなって止まるのは、このずれが大きくなるからなのです。
売上原価低減
仕入業者を100%信頼し、依存していたら会社は継続しないです。
韓非子曰く『信ずれば制せられる』です。
相見積もりを定期的かつ継続的に実施しましょう。
相見積もりを取るという行為をルーティン化する必要があるのです。
いろんなところから相見積もりをとっていると、仕入れ先のコスト構造がわかってくるというメリットもあるのです。
人件費
人は、会社最大の宝であると同時に最大のコストになります。
人件費管理で賢い選択をしなければ、利益は絶対に出ないのです。
人件費は、変動費化するのが原則になります。
上述したように、社員の成果を目標達成度合いに応じて評価して、それに基づいて給与を支払う必要があるのです。
固定給の部分は小さく、業績変動給の部分は大きくしましょう。
人件費を変動費化することにより、業績と給与が結びつくので無駄がカットできるだけでなく、社員の動機付けは高まるのです。
また、人は戦略的に投入する必要があります。
収益を部門、製品、サービスごとに分析して、より多くの利益をもたらす分野により多くのスタッフの時間を投入するのが原則になります。
スタッフの投入時間は、最大の資金消費であり、付加価値の源泉だからです。
会社が困窮した場合は、利益を生まない部門は人ごとリストラする果断さも、経営者には必要です。
地代
法的には、合理的な根拠があれば更新時に限らず減額を請求できるのです。
専門知識と経験が必要な作業なので、成功報酬型の業者さんを使うのも一法でしょう。
一般経費
ちりも積もれば山となる。
細かく管理しましょう。
広告宣伝費は徹底的に費用対効果を洗いなおしていきましょう。
習慣的に無駄なお金を使ってしまいやすい費目になります。
旅費、車両費、交際費、会議費、会費、消耗品費、リース料は、毎月試算表を厳しくチェックしていれば必ず抑えることができるでしょう。
コツは、個々の経費が売上の増加率以上に増加しないように、効率的な方法を常に探究することです。
月次試算表が出るたびに対前期分析をして経費の伸び率と売上の伸び率を比較することは、コスト削減のためには不可避な習慣です。
適正な現預金残高
とくに定期預金と借入の両建てに注意しましょう。
定期預金を解約して借入を返済すれば、資金繰り・格付けともに改善します。
ただし、月商分の現預金は保持するようにしておきましょう。
これは財務戦略の初歩になります。
売掛金
売掛金に限らず、資産を抱えるということは裏返しにそれだけ資金が眠り、借金が増えるということになります。
この点は油断しないでください。
利益だけでなく、こういった資産管理にまで気が回る社長が生き残れる社長になります。
時系列分析・同業比較により、残高が増えすぎていないかを管理します。
回収条件の改定を常に心がけましょう。
回収条件を有利にすれば、資金がその分だけ増加するでしょう。
回収条件は、多くの場合、売価とトレードオフ関係にあります。
売価を下げざるを得ないときは、せめて回収条件を有利に変更しましょう。
在庫管理
まずは、残高管理を適正に実施しましょう。
どういった在庫が、いくつあるのか?
いくらあるのか?
どれぐらいの期間、滞留しているのか?
在庫を正確に把握することが、在庫政策の前提となるでしょう。
過剰な在庫を持つということは、同額だけ、資金が眠って、余計な借金をしていることになります。
売れない在庫は、含み損の状態ですが損失をすでに生み出しており、保管費用もかかりますので、現金化して資金繰りを改善させるべきでしょう。売却により、実現した含み損は税金を減らし、資金繰りを改善させる効果があるでしょう。
買掛金
売掛金同様に支払条件の有利改定を常に心がけましょう。
有利改定できれば、資金はその分だけ増加するでしょう。
有利改定とは、支払い期限を延ばすということになります。
不動産
不動産は持つ時代ではないでしょう。
長期的には、値下がりするリスクが高い資産を持っていることに意味がありますでしょうか。
また、不動産を持っているということは、無駄に資金が眠っているということになります。
資金は、成長する可能性のある事業へ投入するべきなのです。
その方が、不動産へ投資するよりもはるかにリターンが大きいはずでしょう。
どうしても利用し続けなければならない不動産については、セールスアンドリースバックをお勧めします。
セールスアンドリースバックをすれば、現金化したあとも不動産を使用し続けることが可能になるのです。
現金化により、借入金を返済し、資金繰り、損益ともに改善できるでしょう。
吐き出した損失により、税金コストも下げられます。
担保付不動産にも適用可能な手法になります。
投資資産
保険積立金については、資金繰りが苦しくなったら保険を解約して積立金を回収することができます。
有価証券、ゴルフ会員権、リゾート会員権、事業に必要とされない車等も同様になります。
資金繰りが悪化したら、売却して現金化しましょう。
これらの投資資産を売却して、実現した損失は節税効果を期待できるでしょう。
借入金対策
事業投資のための借入は、積極的に実施しましょう。
しかし、赤字補填のための借入はやらないでください。
赤字補填のための借入が、恒常化したら会社は終わります。
数年から数十年の苦しい戦いののちに、必ず破綻するでしょう。
資金繰り問題は、安易に借入をして対応しないでください。
赤字補填の借入金を返済するには、単に黒字化する場合の数倍の努力が必要になると覚悟しておいてください。
事業が赤字のために資金繰りが悪化したら、まずはぎりぎりの倹約をして、なんとか追加の借入なしに乗り切れないかを検討しましょう。