飲食店の経営が「難しい」といわれる7つの理由 

飲食店の経営が

「難しい」といわれる7つの理由 

 

1.圧倒的に飲食店が多い

飲食店は、基本的に「食品衛生責任者」の資格さえ持っていれば誰でも開業できてしまうため、極めて参入ハードルが低いのです。
 
「外食需要は高まっている」というデータもありますが、人口に対する店舗数も多いため、お腹を空かしたお客さんに「自分のお店を選んでもらえる可能性」は必然的に低くなるようです。
 
ちなみに、ご存じの通り人口は年々減少しています。
 
なお、最近では「美味しい惣菜」を提供するコンビニやスーパーも増えたため、それらもライバルとなり得る存在になります。
 
ライバルが多すぎるため、味やコンセプトなどで他所にはない魅力を付けなければ、長く存続するのは難しいでしょう。

 

2.一度場所を決めたら動きづらい

飲食店の開業では、物件取得にかかる費用はもちろんのこと、内装(厨房機器など含む)にも費用が掛かるでしょう。
 
いわゆる「イニシャルコスト(初期費用)」が大きく、工事も必要なビジネスになります。
 
つまり、一度出店してしまった後は非常に身動きが取りにくいです。
 
さらに日本は店舗毎の「商圏」を認めていないため、近くにライバル店が出店してくる可能性もあります。
 
たとえば『OLさんが本格的なイタリアンを求めてるけど、お店が無い。これは勝てる!』と思いイタリアンを開業します。
 
予想通り繁盛したのも束の間、資本力のある会社が似たようなイタリアンを開業して来た時に、「自分のお店にしかない魅力」がなければお客さんはそちらへ流れていってしまいます。
 
ジャンルは異なりますがリアルな一例を出すと、「塚田農場」が繁盛した後に「山内農場」というかなり似たようなお店が出ました。
 
私が知っている場所で言うと、西新宿では塚田農場と山内農場が同じビルに入っています。
 
どちらが先に入ったのかは分かりませんが、こういうことが起こり得る世界なのです。
 
それ以外にも、『駅近に出店したのに、駅の出入口の場所が変わってしまって人が流れてこなくなった!』というケースもあるのです。
 
ライバルの参入は読めませんが、「動きづらい」ということは念頭に置いてください。

 

3.売上げが安定しない

見出しと真反対なことを述べますが、売上は安定するものなのです?
 
ある程度知名度が上がれば、雨の中傘をさしてでも並んで頂けるようになりますので、売上は高水準で安定していきます。
 
むしろ高水準でしか安定させることはできないです。
 
天候で大きく左右されて安定しないのは、まだまだブランドが弱くて売上が低いからでしょう。
 
そしてそれは、ポジティブに言えば「まだまだ売上の伸びシロがある」ということになります。
 
しかし「ブランド力が強くなるまで」は天候にも大きく左右されるため、
 
・売上が低迷
・在庫ロスが発生
・予めアルバイトを組んでいるため、お客さんが少ないときも人件費がかかってします
 
という負の要素が積み重なるのです。
 
もちろん「予約可」のお店でしたら予約状況を見て、そして「予約不可」のお店でしたら翌日の天気予報を見て立ち回るのでしょう。
 
しかし何にせよ『飲食店は地獄だ!難しすぎる!』と嘆いてしまう状況の方は、おそらくまだブランド力が強くない状況のハズです。
 
そのような状況下では、以上のようなことから「売上が安定しない」ことも「地獄の要素の一つ」だと捉えられると思うでしょう。

 

4.「美味い」「安い」が当たり前に求められる

今や「美味い」「安い」が当たり前の時代です。
 
これらを両立しつつ経営するには、経費の大部分を占めます。
 
・原価
・人件費
 
をどうにか抑えなければならないでしょう。
 
ですが消費者は敏感ですので「原価」を落とせば味の劣化に気づき離れてしまうでしょう。
 
かと言って人件費を削るとサービス力が低下して「クレームの口コミ」から「客離れ」になるでしょう。
 
つまり、
 
・試行錯誤して「美味い安い」を両立
・どちらかを諦め、接客等の他の部分でカバー(価値を付け加える)
・値段を高くしてアッパー層を狙う
 
など、コンセプト・方針をしっかり最初に設定しておかなければならないでしょう。
 
もしも相場よりも高くても、それが安く感じられる味・接客レベルであれば、お客様には満足して頂けるでしょう。
 
価格競争では大手に負けるので、同じ土俵には立ってはいけません。
基本的に「自分のお店の魅力」を磨き続けましょう。

 
5. 長時間労働が当たり前

飲食業界では、基本的に
 
・昼営業
・夜営業
・仕込み
 
この3つの繰り返しになります。
 
これらを「労働」と捉えるのかは人それぞれですが、お店に立つ時間は決して短いとはいえないでしょう。
 
お客さんが来ない暇な時間があれば、『どうすればこの時間にも来てもらえるのだろうか?』と考えなければならないのです。
 
また例え安定してお客さんが来ていたとしても、ライバルがポコポコ増える中、『現状維持は退化』と考えるとやるべきことは多々あるでしょう。
 
このように『“経営戦略を練る時間” もまた労働』と捉えると、正直「休み」はないのです。
 
でも「あなたの人生の目標」を飲食店で叶えようと考えたのであれば、きっとその労働は「苦」ではないでしょう。
 
なお『週に2日は子どもと遊ぶために休みを取りたい』と考えているのであれば、ビジネス街など「土日は客足が減る場所」で開業すれば、半強制的に店を閉め、土日は休息を取れるようになるでしょう。
 
長時間労働を苦に感じるか否かは、店の礎である「コンセプト作り」から始まっているともいえるでしょう。
  
お客様が「自分のお店の味」を求めてくれるようになれば、逆に営業時間を短くすることも可能です。
 
なぜなら「短い時間しか空いていない」ということが売りになるからになります。
 
そういう意味だと、一度確固たるレベルまでに築き上げられると、体力が無くなってきても細々と存続させることが出来るともいえるでしょう。

 

6.人権確保が難しい

飲食業界は、
 
・給与水準が低い
・休日が少なく、労働環境が悪い
 
というイメージから、人材の確保が難しい業界とされているのです。
 
実際、上で説明の通り「安くて美味しいのが当たり前」とされている今、それを実現しようとすると人件費を闇雲に上げることは難しいでしょう。
 
とはいえ実際のところ、給与水準を上げて求人をかければ人は集まるでしょう。
 
ですが「給与が良くても労働環境が悪い」状況では人は辞めていきますので、労働環境を整えることも大切になります。
 
なお求人をかけるにも経費が掛かりますので、まだ軌道に乗っていない状況であれば、既存のアルバイトのツテを使わせてもらうなど、小さな努力の積み重ねが必要になるでしょう。 

ちなみに「求人経費が掛からない」「天気が悪く、客足が少なければ手軽に休んでもらえる」という意味では、家族経営は楽かもしれません。

 

7.売上げの天井が決まっている

これは「売上が高まってからの悩み」なので「地獄」とはまた違いますが、飲食店のデメリットの一つになります。
 
店舗型の飲食店ではあらかじめ席数が決まっているため、売上の天井が決まってしまいます。
 
たとえば、行列の絶えない以下の様なラーメン屋があったとします。
 
・営業時間:11-22時(中休みなし)
・席数:10席
・客単価:1000円
・回転数:2回/時間
 
この場合は、どれだけ行列があろうとも11時間×10席×1000円×2回転=22万円しか1日に売り上げられません。
 
休みなしで30日働いて660万円が天井です。
 
一方で最近はやりの「Youtuber」を引き合いに出すと、あのビジネスは「店のキャパ」がありませんので青天井に伸びシロがあります。
 
評価が「登録者数」という形で積み重なり、それにより1本の動画に対する再生回数も基本的に右肩上がりに伸びるでしょう。
 
ですが飲食店はブランドが育って客足が増えても、店のキャパが決まっているのでそれ以上は利益が増えないです。
 
もちろん飲食店も「店舗を増やす・拡大する」などで対応できますが、そこにも設備投資・雇用拡大のリスクが潜んでいるのです。